News & Topics

横浜合同法律事務所ニュース3

国労 JR東日本と一括和解

弁護士 中村 宏

 国鉄の分割民営化でJR各社が発足した1987年4月からまもなく20年となります。当ニュースでも何回も取り上げさせていただきましたが,国労(国鉄労働組合)など当時分割民営化に反対した組合に対しては,国鉄末期からJR発足後今日まで不当労働行為(労働組合への支配介入,労働組合の活動を理由とした不利益取扱い)の「デパート」といわれるように,不採用,脱退工作,組合員根こそぎの配転,出向,バッジ取外し攻撃,昇進試験にはほとんど合格させないなど,何でもありの組合差別が繰り返されてきました。多くの事件で国労は連戦連勝でしたが,JRはそれでもなかなか不当労働行為をやめようとしませんでした。

 このたび,中央労働委員会に継続していたJR東日本関係の61件の事件についてこのたびようやく11月6日一括和解が成立しました。一昨年配属差別の事件について,昨年昇進差別の事件について和解がそれぞれ成立しており,今回の和解でJR東日本関係の全継続事件が和解解決したことになります。昨年の昇進事件の和解以降,2回分の社内の昇進試験の結果を見ると,国労の組合員からも一定の数の合格者が出るようになりました。また例えば新人の車掌さんの研修にあたる指導車掌の任命などでも国労組合員も少数ながら任命されるようになりました。このように職場の力関係の変化が少しずつ生まれてきていることが,今回の和解につながったのです。

 和解ではJR側が今後「公平・公正な人事・労務管理を行うこと」「会社と組合が本件和解の趣旨及び内容について,十分に周知徹底をはかることとする」と定められています。これまで行われた不当差別を許さないためにも,なによりも安全な輸送のために,会社末端までこの精神が徹底することがのぞまれます。会社で労働組合が弾圧され「ものが言えない」職場になるのは,決してその会社内部の問題だけではない社会的影響が及ぶものです。特に公共交通機関は安全・正確・快適な運送が使命です。決して羽越線のような事故,(会社は違う会社になりましたが)JR西日本の尼崎のような事故は繰り返して欲しくありません。

 しかし,JR移行の際不採用とされた1047名の不採用問題はまだ解決していません。約20年の長きにわたり苦しんできた不採用者のみなさんの件を引き続き早急に解決するため,ぜひ皆様のご支援を引き続きお願いします。

 

最後は運動の力で!!

〜ホワイトカラー・エグゼンプション導入を断固阻止するために〜

弁護士 西村 紀子


 平成18年11月22日に、景気拡大期間が過去最長期間であったいざなぎ景気を超えたという発表がなされました。しかし、実感できた方はほとんどおられなかったのではないでしょうか。

 これまで、数多くの労働者がリストラ解雇され、或いは労働条件を一方的に切り下げられてきました。企業は過去最高の利益を上げているようですが、賃金は低水準に押さえ込まれたままです。 


 そのような中、海外との競争力を維持するためとして、さらなる労働条件の切り下げ・改悪を企図する制度が矢継ぎ早に厚生省労働条件分科会において提案されています。

 その中でも、特に、「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入は、絶対に阻止しなくてはなりません。すでに過去に取り上げたことがあり、すでに耳にした方も多いと思いますが、来年2月の通常国会への上程に向け、導入推進派の主導で、一般国民不在のまま着々と議論が進行している待ったなしの状況なので、あえて再び取り上げたいと思います。

 この「ホワイトカラー・エグゼンプション」は、元々アメリカで導入されている、一定要件を充たした労働者については残業代を支払わなくてよいという制度です。

 現在、日本では、労働基準法により、労働者の1日の労働時間は8時間、週40時間と定められ、これを超えた労働については、25%〜60%の割増賃金を支払わなくてはならないと定められています。

 この規定にもかかわらず、現在、長時間のサービス残業が蔓延し、このままでは夫や息子が過労死しかねないと心配する相談が労働相談では大変多くなっています。残業代を請求できるというアドバイスよりも、残業代はいらないから、長時間労働をしなくて済むようにして欲しいという悲鳴も後を絶ちません。

 そういったことも事情もありますが、この規定があることにより、労働者に対してサービス残業を行わせていた企業に対して経済的負担を課すととともに、サービス残業を強いられていた労働者が後になってからでも経済的に報われることがあるという意味では、長時間のサービス残業に対して、一定の制約になっていた面もあったと言えるでしょう。

 ところが、この「ホワイトカラー・エグゼンプション」(日本名では「自律的労働時間制度」)が導入された場合、前記の労働基準法で定められている1日8時間、週40時間の労働時間規制が適用されなくなり、残業代が全く支払われなくなってしまうのです。

 この制度導入を強く希望しているのは、言うまでもなく、さらなく人件費切り下げを目論む財界です。

 厚生労働省は、表向きは、この制度の対象となる労働者の年収要件は1000万円となると表明しています。

 しかし、こういった労働条件を切り下げる制度は、“小さく産んで大きく育てよう”との意図で導入されるもので、当初は適用要件はハードルが高く設定されているのですが、一旦導入されると、「使い勝手が悪い」「現状に追いつかない」などの言って、次々と要件が緩められていくのです。

 労働者派遣法で当初対象職種が限定されていたのに、あっと言う間にあらゆる職種が対象になってしまったことは記憶に新しいことです。年収要件が1000万円から、400万円以下となるのに時間はかからないでしょう。

 現に、労働政策審議会における使用者側委員からは、対象となる労働者の収入は400万円とすべきだという意見を述べています。年収1000万円なら大丈夫などと言うことは絶対にないのです。

 もしかかる制度が導入されることになったら、残業代が全く支払われないままの長時間労働が、現在以上に強要されることになり、それを押しとどめることができなくなってしまうでしょう。


 これは、文字通り、労働者の生きる権利の問題と言っても過言ではありません。

 この制度の導入を阻止するための運動は、少しずつ広がりつつありますが、まだまだ声が小さい状況です。この声を大きくしなくてはなりません。

 現在、次々とエグゼンプションを始めとする改悪法制の導入が議論されるのはなぜかと考えると、もちろん財界の人件費切り下げの要請もあるのですが、このような提示をしても大丈夫だ、選挙にも響かなければストライキをされる心配もない、などと政府も企業も侮っているからこそでしょう。

 このような政府・企業による認識を改めさせるだけの、断固反対の運動を、大きく盛り上げていく必要があると思います。

 

弁護修習を終えて

司法修習生 山下 功一郎

 私は、司法修習生として3か月間横浜合同法律事務所で研修させていただきました。横浜合同法律事務所では、一般民事事件、労働事件、刑事事件、少年事件、家事事件等幅広く業務を扱っており、様々な種類の案件に関わることができました。

 中でも印象深かったのは、解雇の効力を争った労働事件です。この事件では、先生方の粘り強い弁護活動のおかげでこちらにかなり有利な和解を成立させることができました。依頼者の方の満足そうな表情がとても印象的でした。

 ある週末には、事務所の先生方に箱根に紅葉を見に連れて行っていただきました。天気はあまりよくありませんでしたが、バスの中から美しい紅葉を見ることができ楽しい思い出となりました。

 私は、横浜合同法律事務所で修習をして、実務家である弁護士の先生方の文章の書き方や依頼者の方との接し方を学ぶことができました。この修習で学んだことを忘れずに、これからも努力を続け早く一人前の弁護士になりたいと思います。指導担当の中村先生をはじめとする弁護士の先生方、事務局の方々には大変お世話になりました。どうもありがとうございました。

 

離婚時年金分割制度が始まります

弁護士 太田 啓子

 平成19年4月1日から「離婚時年金分割制度」が施行されます。また、平成20年4月からは、「第3号被保険者期間についての厚生年金の分割制度」が施行されます。「熟年離婚」が増加するのではないか等、何かと話題のこれらの制度についてご説明したいと思います。

1 現在の老齢年金制度の概要
 今の年金制度は、@国民年金(自営業者、無業者を含む全国民の加入が義務づけられる)A厚生年金等の被用者年金(会社員や公務員等が加入)B企業年金等(@Aの公的年金を補完)に大別されます。@の国民年金(基礎年金)を基礎に、AとBが上乗せされる、いわば「3階建て」の体系です。被保険者は、自営業者等の第1号被保険者、サラリーマン等の第2号被保険者、専業主婦等の第3号被保険者(第2号保険者の配偶者であって主として第2号被保険者の収入により生計を維持する者)にわかれます。

2 年金分割制度の対象となる場合・ならない場合
 離婚時年金分割の対象となるのは、厚生年金及び共済年金という被用者年金、いわば「2階部分」のみなので、離婚した夫婦のどちらか又は双方が、厚生年金又は共済年金の加入者である場合のみ、離婚時年金分割制度の対象になります。従って、夫婦とも被用者年金の加入者ではない場合(ともに自営業である等)にはこの制度の対象の適用は受けません。

3 年金分割制度は2種類ある
 年金分割には、(1)離婚時の年金分割(平成19年4月1日以降、以下「離婚時年金分割」)と(2)第3号被保険者期間の年金分割(平成20年4月1日以降、以下「3号分割」)の2種類があります。
《1》離婚時の年金分割(平成19年4月1日以降)
 まず離婚時年金分割とは、「(1)婚姻期間中の厚生年金の(2)保険料納付記録を(3)離婚時に限って(4)当事者間に分割できる」という制度です。(1)に関し、離婚が平成19年4月1日以降でさえあれば、それ以前の期間も含め、婚姻から離婚までの全ての期間が対象となります。(2)に関し、保険料納付記録とは厚生年金保険等の報酬比例部分の年金額算定の基礎となるものです。分割されるのは、年金額そのものではなく、保険料を納付したという記録です。(3)離婚後2年が経過した後その他厚労省令で定める一定の場合には年金分割を行うことはできなくなります。(4)分割の割合の上限は5割です。つまり、離婚したからといって、離婚しない場合よりも多く受給できるということにはなり得ないということになります。分割割合について協議がまとまらない場合には離婚当事者一方の求めにより、裁判所が分割割合を定めることができます。
《2》3号分割(平成20年4月1日以降)
 3号分割とは、「(1)平成20年4月1日以降の第3号被保険者期間については、離婚をした場合に、(2)当事者一方からの請求により、第2号被保険者の厚生年金の保険料納付記録を(3)自動的に2分の1に分割することができる」という制度です。(1)平成20年4月1日より前に3号被保険者であったとしても、この制度の適用は受けません。(2)一方が請求すれば、他方配偶者の同意は不要であり裁判も不要です。(3)分割割合は2分の1に固定されています。
 3号分割制度の根本的な発想は、被扶養配偶者(第3号被保険者−典型例は専業主婦)を有する第2号被保険者(典型例は専業主婦の夫)が負担した保険料は、2号保険者のみが負担したのではなく夫婦が共同して負担したものであることを基本的認識とすることです。このため第2号被保険者が払った保険料の対価の2分の1を当然に第3号保険者が当然に受け取れるようにさせるということになります。
《3》具体的手続
 離婚後に受給できる年金の金額や夫婦で納付した保険料の記録に関する質問や、請求手続等は社会保険事務所に問い合わせることになります。

4 制度施行の意義
 離婚をすると、現役時代の男女の給与格差や就労の有無などを理由として、離婚後の夫婦双方の年金受給額には大きな開きがありました(厚生年金の年金額は被保険者本人の過去の就労期間や賃金額を基礎に計算されるため)。このため、特に専業主婦やパート主婦など、経済力が乏しい層は離婚後経済的に更に困窮してしまうという現実があり、離婚後に年金額にこのような格差が生じることは両性の平等の観点から大きな問題がありました。年金分割制度はこの問題意識をもとに施行されるもので、両性の平等実現のための大きな意義があると評価できます。

5 年金分割制度は本当に「熟年離婚」にとって福音なのか
 元配偶者から年金分割を受けても、離婚後の生活は、特に専業主婦や収入の低いパート勤務をしていた女性にとっては、経済的には楽ではないことが多いと思います。年金分割は、従来のように厚生年金を受給する制度的保障が無いことに比べて大きな意義はあることは確かですが、しかしこれだけで離婚後の経済生活を薔薇色にするものでは決してないでしょう。経済力が乏しい場合には特に、離婚は大変重大な決断です。離婚を考えるときにはそのことを十分に踏まえ、「経済的にはこれくらいの状況になるが、それでも離婚したいのか」と、離婚したい理由をよく自問自答したうえで冷静な判断をすべきだと思います。

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