News & Topics

横浜合同法律事務所ニュース10

新春のごあいさつ

弁護士 畑山 穰

 明けましておめでとうございます。

 昨年、当事務所は創立四〇周年をむかえ、当初の弁護士三名から弁護士は一七名、事務局一三名を数える法律事務所に発展し、一一月には記念の祝賀会を開催することができました。これも依頼者のみな様のご支援をはじめ、暮らし、平和、人権の擁護、社会正義実現のために手をたずさえて頑張ってきた仲間のみな様のご協力のおかげであります。

 あらためて感謝申し上げますとともに、所員一同事務所創立の初心を忘れず、次の五〇周年にむけていっそう精進してまいりますのでよろしくお願い致します。

 さて、昨年、世界は百年に一度といわれるアメリカ発の金融危機に見舞われました。世界各国の首脳や金融財政の責任者は、ひょっとして一九二九年、ウオール街で株価が十分の一に大暴落し全世界を巻き込む大恐慌に発展していった二の舞を演じるのではないかと、戦々恐々、その火消しに大童であります。

 第二次世界大戦後、アメリカは優越した経済力を背景に戦後復興の国際的なリーダーシップを握り、国際通貨基金と世界銀行を柱とするブレトンウッズ体制を確立し、ドルを国際基軸通貨として位置づけることによって世界の経済を支配してきました。

 しかしながら、アメリカは国益優先という利己的な要求から、基軸通貨国の国際的責任を放擲し、長年にわたり国家財政と国際収支の赤字、つまり双子の赤字を意に介さず、基軸通貨国の特権を使って赤字の穴埋めにドルを印刷しては国内外に垂れ流すという謂わばサラ金経済ともいうべき無責任な経済政策を続けてきました。その結果、ついにはカジノ資本主義、ばくち経済にまで行き着いてしまったのです。

 こうして、アメリカのウオール街ではサブプライムローン問題に見られるように、金融工学などというあやしげな粉飾を凝らしたさまざまな金融デリバティブのインチキ商品が開発され、これがさも実体的な価値をもつ財産(資産、富)ででもあるかのような詐欺的手段で世界中にばらまかれましたが、こんなでたらめがいつまでも続くはずはなく、化けの皮がはがれた途端に、世界は大恐慌の崖っぷちという恐ろしい現実を目の前につきつけられたのです。

 昨年一一月、中進国を含む世界二〇カ国首脳による緊急国際会議が開催されましたが、並み居る首脳から、アメリカのカジノ資本主義批判、国際基軸通貨としてのドルの信頼性動揺に対する不満が表明され、世界金融危機の拡大進行を食い止めるため、各国が金融資本の野放図な投機活動、カジノ資本主義に対して国際的規制と監視を加えることが求められ、さすがのブッシュ大統領もしぶしぶこれを認めざるを得ず、世界のマスコミはいっせいに、世界経済におけるアメリカ一国支配の終わりが始まったことを報じました。

 世界の平和の問題について言えば、これまたアメリカは、第二次世界大戦後、一国だけでヨーロッパ諸国の全軍事予算を超えるという圧倒的な軍事予算のもとに核兵器を含む軍事力を誇示し、自らを世界の警察官に擬して世界中に睨みをきかし、ついにはソビエト社会主義共和国連邦を打ち負かして冷戦の勝利者となりましたが、負けいくさとなったベトナム侵略戦争の教訓も学ばずに、九・一一同時多発テロを口実に、フランス、ドイツ、ロシア、中国などの反対を無視してサダム・フセイン攻撃を始めましたが、今やイラク戦争はアフガニスタンに対する軍事攻撃とともにお先まっくら、抜き差しならない泥沼の様相を呈しております。

 イラク政府からは期限を切ったアメリカ軍の撤兵を求められ、アフガニスタンではイギリス軍の責任者から力による治安の回復は望めず、戦闘を終結するためには交渉による解決しかないという批判が公けにされ、実際にアフガニスタン政府もタリバンとの交渉を開始するという事態となっております。

 このように、もはや、アメリカによる一国の国益優先という手前勝手な世界の支配は、経済面でも軍事面でもくずれはじめております。

 共和党ブッシュ大統領の政策を批判して当選したアフリカ系の民主党バラク・オバマ氏が、この年明けにいよいよ大統領に就任します。

 日本の政治、経済、社会も混沌としながら、今の閉塞状態を打ち破り将来の明るい展望につながる動きがあちこちに見えております。

 現実の政治は複雑であり、矛盾に満ち一直線にはいかないものの、一旦動き出した大きな流れは民衆の自覚した参加と努力によってますますその勢いを強め人類の明るい未来を切り開いていくことになるでしょう。

 年頭にあたり所感の一端を申し述べ、皆さまのご多幸をお祈りいたします。

 

横浜合同法律事務所の四〇年

弁護士 浅川 壽一
  1. 大きく成長
     一九六九年、山内忠吉、畑山穰、川又昭によって開設された弊所は、一七名の弁護士によって構成されるまでに成長しました。弁護士を支える事務局を合わせると、三〇名の大所帯です。「平和憲法 市民とともに四十年」と題する弊所四〇周年を記念する記念誌が、筆者の手元にあります。この記念誌を眺めながら、現在の弊所の様子などについて、紹介させて頂きます。
  2. 弊所が取り組んでいる活動
     弊所が取り組んでいる活動は、所員の数だけあると申し上げても過言ではありません。記念誌では、これらの中で9つの活動を選んで紹介させて頂いております。@憲法問題、A刑事事件、B労働問題、C環境問題、D女性の権利、Eこどもの権利、F消費者問題、G米軍基地問題、H生存権問題です。一七名の弁護士がそれぞれに得意分野を持ちながら、相互に連携し団結して、憲法の価値を実現しようと努力を重ねております。そして、私達弁護士の活動を支える一三名の事務局。日々研鑽を重ねて業務に精通するとともに、集会などに参加して憲法と平和を守る活動に身を投じています。
  3. 各弁護士の紹介
    記念誌では、一七名に増えた各弁護士を一文字で表現し、その人柄と活動を紹介しました。
     @「唄」畑山穰(唄とともに粋に仕事をこなす職人)
     A「吟」川又昭(志士は詩文を吟詠 博学の職人肌)
     B「早」根岸義道(仕事、決断、頭の回転 どれも速い重鎮)
     C「然」岩橋宣隆(横合で一番の自然を愛する環境派)
     D「闘」小口千惠子(妥協せずに徹底して闘い続ける)
     E「智」中村宏(豊富な智恵をもつ旅人)
     F「崖」高橋宏(がけっぷちの勝負もガッツで乗り越える)
     G「慎」関守麻紀子(慎重に物事を進めていつも慎み深い)
     H「義」阪田勝彦(義に厚く、頑張っている人を幸せにする)
     I「気」西村紀子(合気道の精神で何事も気合いを入れて)
     J「麗」太田啓子(才色兼備でファッショナブル)
     K「豪」近藤ちとせ(豪快な気質 姉御肌でみんなを守る)
     L「務」田渕大輔(実務的な能力高くコツコツ正確に確実に)
     M「動」浅川壽一(高い機動力!車やバイクで現場へ出動)
     N「斬」宋惠燕(何事も一刀両断で きもちよくきっぱりと)
     O「頑」田井勝(タフで頑丈 今日も頑張る格闘家)
     P「新」北神英典(満を持して登場 期待の大型新人)
    これら「一文字」は、読者の皆様のイメージに合致するでしょうか?
  4. 卒業生からのメッセージ
     この一〇年間で弊所から巣立った弁護士たちが、メッセージを寄せてくれました。これらメッセージは、記念誌に掲載させて頂いております。山田泰裁判官、栗山博史弁護士、町川智康弁護士、浜田薫弁護士、中久木都弁護士。皆元気に、それぞれの分野で活躍しています。
  5. 事務局紹介
     塚本洋子、渡部健二、森下純子、福田紀子、塩見祐、石栗ルミ子、山本明子、吉田幸穂、市川絹子、中村妃奈子、柳原康雄、伊藤勇、大沼恵、それぞれが笑顔の顔写真とともに紹介されています。入所して三〇年を迎えるベテランから二年目を迎えた若手まで、層の厚さと能力の高さが自慢の事務局です。掲載されている顔写真から判断すると「明るい職場」というイメージでしょうか。実際、明るい職場です!
  6. 山内忠吉を偲ぶ
     弊所開設当初から構成メンバーであった山内忠吉が、1999年、91歳の生涯を閉じました。記念誌で山内の活動を紹介し、山内の依頼人の方から山内の思い出を寄せて頂きました。
  7. そして、これから
     四〇周年記念誌の最後に、弊所が歩んできたこの一〇年の軌跡を年表として掲載しております。俯瞰してみて、実に多くの事件を扱い、解決してきたことがわかります。これらは、弊所の活動の成果といえるかもしれません。しかし、これらは決して弊所だけのものではなく、多くの関係先の方々と一緒に勝ち取った成果なのです。私達は、このことを忘れてはなりません。
     次は一〇年後の五〇周年。多くの成果を掲げ、全所員が関係先の皆様とともに祝杯を挙げることができますよう、私達は新たな気持ちで進んで参ります。
 

事務所設立40周年記念レセプション報告

弁護士 田渕 大輔

 11月21日、パンパシフィックホテル横浜において、横浜合同法律事務所の設立40周年を祝う記念レセプションが、大勢の方々の参加を得て盛大に開催されました。

 当日は、自由法曹団の松井繁明団長、横浜弁護士会の武井共夫会長からご挨拶をいただき、事務所の客員弁護士であった故岡崎一男先生のご子息であるとともに、かながわ9条の会の呼びかけ人の1人でもある牧師の岡崎晃先生から乾杯のご発声をいただきました。

 その後、ニュース形式で、建築アスベスト訴訟、憲法劇、ちかん冤罪事件、米兵犯罪損害賠償請求事件等、事務所の弁護士が取り組んでいる事件や活動を紹介したり、事務所に所属する各弁護士を紹介する映像を流しました。各弁護士の紹介は、10年前の30周年の時とは趣向を変え、コマーシャル風の映像の中で、各弁護士の人柄が伝わるように工夫しました。

 また、事件や各弁護士を紹介するコーナーだけでなく、洗足学園音楽大学ギター科の教授であり、小口弁護士の友人でもあるクラシックギタリストの原善伸さんに、クラシックギターの生演奏をしていただきました。広い会場にクラシックギターの音色が響き渡ると、多くの方が暫し歓談を止め、その美しい音色に聞き入っていました。

 ニュース形式による事務所紹介の最後では、この10年間の中で最も悲しい出来事であった山内忠吉弁護士の逝去に触れ、山内弁護士を偲ぶとともに、その志を各所員が受け継いでいくことを改めて確認しました。

 ニュース形式での事務所紹介が終わると、暫しの歓談を経て、当事務所の幹事長である根岸弁護士から、閉会のご挨拶を申し上げ、レセプションは盛況の内に幕を閉じました。

 今回のレセプションの目的は、事務所の40年の歩みを再確認し、同時に、長い年月の中で培われた依頼者の皆様や諸団体の方々及び同じ法曹界の仲間である弁護士の方々との良き関係を更に発展させていくことにありました。600名を超す多くの方々に参加していただき、普段の仕事上の付き合いだけでは十分に伝えきれない各所員の人柄をお伝えできたことで、そのようなレセプションの目的は達成できたのではないかと思います。

 同時に、「平和憲法・市民とともに四十年」というテーマを掲げた今回のレセプションに、これだけ多くの方々に参加いただけたということは、基本的人権の擁護と社会正義の実現という弁護士の基本的な役割を当事務所の弁護士が今後も変わらず果たしていくことを、多くの人に強く期待されていることの現れであるとも受け止めております。

 当事務所は、今後も、これまでと同様、平和憲法と市民の皆様とともに歩んでいきます。そのような歩みを重ねていく上で、今後事務所が進んでいく方向と、多くの方々に支えられて今の事務所があることを再認識できたことは、これからの事務所の歩みを支える大きな力となりました。

 最後に、改めまして、当事務所の40周年記念レセプションに多くの方々にご参加いただいたことに感謝申し上げます。また、ご参加いただけなかった方々にも、これまでの当事務所との多年にわたる関係に感謝申し上げますとともに、今後も、皆様との良き関係が続いていきますことを、衷心から願っております。

 

裁判員裁判は実施しても良いのか

弁護士 小口 千恵子

Q裁判員裁判とは?
A裁判は,民事裁判と刑事裁判とがありますが,刑事裁判のうちの重大事件に限って,市民も裁判員として裁判に加わるという制度です。

Q具体的にどんな事件?
A死刑や無期以上の刑が定められているものなどで,殺人事件の他,人の家に放火した事件(現住建造物放火事件)とか,万引きして追いかけて来た人を突き飛ばしてしまい怪我させてしまった事件(強盗致傷事件)などです。これらの未遂事件も含まれます。
 神奈川県内では1年に200件くらいです。

Q裁判員は何をする?
A職業裁判官の隣に座って一つの裁判に最初から最後まで加わり,そこで出される証拠を見て,その後,職業裁判官と共に意見を出し合って,有罪か無罪かを決め,また,宣告する刑を決めます。

Q裁判員は誰が?
A20歳以上の人ですが,70歳以上の人や学生・生徒,病人や介護養育のために家を空けられない人などは辞退することができます。

Qどうやって選ばれる?
A1年ごとにくじで裁判員候補者予定者名簿が作られます。その人には予め調査票が送付されます。そして,その中から1事件ごとに50〜100名が裁判員候補者としてくじで選ばれます。神奈川の場合には700万人中,裁判員候補者になるのは1〜2万人です。候補者になると裁判所に呼び出されて,裁判官・検察官・弁護人から不適任か否かチェックされ,その後くじで裁判員が決まります。

Qなぜ今裁判員制度を導入?
A職業裁判官による刑事裁判の現状が余りにひどいからです。
 警察から犯人とされて逮捕されてしまうと,自白しない限り留置場から釈放されることはまずありません。警察は有罪証拠しか集めず,被疑者も目撃者も警察官の作った調書に署名するしかないのです。そして,本来公正中立であるべき裁判所は,警察や検察以上に偏っており,有罪にすることを使命と考えています。
 例えば裁判で被告人に有利なアリバイを証明したとしても,その後被害者に「犯行が行われたのば別の日だった」と証言させて有罪にするなどということが日常的にあるのです。
 そこで,弁護士が一般市民にも参加してもらい,こんな非常識な裁判を変えてもらおうとしたのです。ところが,裁判所などの抵抗に遭って,米国のように一般市民だけで判断する陪審制は採用されず,職業裁判官に市民が加わる形になったのです。

Q弁護士が裁判員制度に反対しているのはなぜ?
A今は無罪率は0.1%くらいですが,ますます無罪判決を獲得することは難しくなるでしょう。
 無罪を獲得するためには,弁護人のねばり強い活動が必要です。私が無罪を獲得した事件でも,最短のもので2年半,長いものは6年半でした。ところが裁判員裁判では裁判員に迷惑をかけられないからと,わずか3日から5日くらいで裁判を終了させようとしています。これまで年単位で行ってきたプロジェクトを3〜5日で行うことにしたというのと同じです。
 こんな短い時間では,警察の作り上げた証拠に反証しようと考え始める時間しかありません。証人の証言が事実かどうか調査する時間もありませんし,その矛盾点に気づくことさえできません。また,例えば交通事故や放火事件などでなされた工学的・化学的に専門的な証言などについては専門家に聞く時間もありません。
 また,嘘をついている被害者の証言を崩すしかない事件では反対尋問が最強の武器になります。これまでは弁護人が反対尋問の時間を長く得るために様々な工夫をして裁判所を説得し,その結果,何日にも亘って反対尋問をすることができ,それが無罪に結びつくことができたのです。ところが,裁判員裁判では反対尋問の時間はわずか15分が目安とされているのです。これでは話になりません。

Q反対の理由は他にもある?
Aさらに大きな問題は,裁判を短くするために,裁判官・検察官・弁護人で裁判前に整理手続をすることです。ここで,争点と提出予定の証拠を明らかにしなければならず,弁護側にもその義務が課されます。
 主要な証人の反対尋問を経なければ争点は分からないはずなのに裁判が始まる前から争点を限定させられ,また,裁判前に手の内を明らかにしておいた証拠しか提出することができません。一旦起訴した以上,有罪とするために手段を選ばないのが検察官ですから,反証されてしまう証拠は提出せず,新たな証拠を作って出して来るでしょう。被告人の無罪への道が閉ざされてしまいます。
 憲法で保障されている反対尋問権や黙秘権を奪うものであり,このようなものは刑事裁判とは言えません。

Q国民参加型で民主的なのでは?
A刑事裁判では国家による人権侵害が起きやすいことからこれを国民の監視の下に置こうと,憲法で公開の裁判が保障されています。実際,毎回多くの傍聴人が詰めかけて裁判所を監視し続けなければ無罪は獲得し難いものです。
 ところが,裁判員裁判では非公開の事前手続の中で大筋を決めることになっており,国民監視の場を奪ってしまうことになります。
 一方,裁判員は国民参加と言える程の役割は担えないでしょう。裁判所が主催した模擬裁判では,無罪と考える裁判員に対し,裁判官3名全員で寄って集って説得を重ね,有罪と言うまで評決をしようとせず,やむを得ず「専門家にお任せします」という発言をせざるを得ないような事態となっています。
 真に国民参加型の裁判制度を目指すのであれば,憲法上の被告人の権利を侵害しない制度を構築し直さないといけないと思います。

 

消費者庁関連法案とは―

弁護士 浅川 壽一
  1. はじめに
     今国会において、いわゆる「消費者庁関連法案」の審議が予定されております。消費者庁関連法案とは、@消費者庁設置法案、A消費者庁整備法案、B消費者安全法案(いずれも仮称)の3本から成り立っています。
  2. 法案のねらい
     消費者庁関連法案のねらいは、産業育成が中心であった行政から、消費者市民社会行政への転換を図ろうとするものです。ちょうど、労働問題で労働省(現在の厚生労働省)、環境問題で環境庁(現在の環境省)が設置されたように、消費者の側に立って企業の行き過ぎを是正する役割を消費者庁に担わせ、消費者行政の充実を図ろうとするのです。
     例えば、筆者が多く扱っている投資被害事件を例にすると、同じ先物取引でも、株価指数先物取引で被害を受けた場合の監督官庁は金融庁、商品先物取引のうち工業品であれば経済産業省、これが農産物であれば農林水産省というように、複雑に所管が分かれてしまっているのです。これでは、足並みが揃わずに投資被害事件が拡大するという悲劇が起きてしまいます。また、これらの省庁はいずれも産業育成を念頭に置いていることから、消費者保護という観点からの法整備に及び腰となりがちです。
     そこで、消費者庁という省庁を設置して、消費者の側に立った行政に転換しようというのが、関連法案のねらいなのです。
  3. 消費者庁設置法案
     これは、消費者庁を設置するための法案です。現在の計画では、内閣府の外局として消費者庁を設置、消費者問題に関連する法律を消費者庁が単独または他省庁と共同で所管し、長官には関係行政機関の庁に対して資料等の提出を求める権限が与えられるほか、消費者政策委員会と事務局が設けられ重要事項を調査審議し意見を述べる権限が与えられる予定です。
  4. 消費者庁整備法案
     消費者庁設置法の施行に伴い、主務大臣の任務を変更し、行政組織の役割分担等を調整する法案です。これまで各省庁に分散していた消費者行政の担当部門を、消費者庁に一本化するための法案と考えると、わかりやすいです。
  5. 消費者安全法案
     消費者被害を防止するための法案です。消費者事故に関する情報を一元管理して行政が適切な対応を執れるようにすることや、消費生活センターの法的位置づけを明確化して機能を強化させること、さらには消費者被害事件の拡大を防止するための措置なども予定されています。また、各省庁が所管していた法律の隙間に落ち込んだ事例などについても、消費者保護の観点から調査権が与えられる予定です。法整備が追いついていない海外商品先物オプション取引など日進月歩の投資スキームに対しても、消費者庁が是正を命じることができるようになるかもしれません。
  6. 最後に
     本稿入稿時点では、今国会で法案が成立するのか、微妙な情勢です。市民のための大切な法案が、政権争奪の道具にならないことを切に願うばかりです。
    (参考:消費者問題ニュース一二六号「臨時国会で消費者庁関連法案の成立を!」石戸谷豊先生、第六〇回先物取引全国研究会資料集「消費者庁の動向と課題」吉岡和弘先生)
 

よもやまばなし “東京裁判”回顧

弁護士 川又 昭

 東京裁判を傍聴した一人として「東京裁判素描」を去年一月の事務所ニュースに載せてもらった。東京裁判、正式には極東国際軍事裁判の判決は、一九四八年一一月一二日、東条ら七名の絞首刑を含む二五名全員に対する有罪の宣告であった。去年はそれから六〇年の節目の年であったのだが、同じ一一月に自衛隊の田母神航空幕僚長が、日本の植民地支配や侵略行為を正当化し、「我が国が侵略国家だったというのはまさに濡れ衣である。」という論文を書き、民間企業の懸賞に応募していたという、驚き、呆れ、かつは心胆を寒からしめる「事件」が発覚した。

 東京裁判は「勝者の裁き」であるとの批判がある。然し「勝者の裁き」として批判するとすれば、政治的思惑から、天皇について予め不起訴を決めていたこと、米国による情報独占と引き換えに七三一部隊による細菌兵器研究、実戦への使用を審理の対象としなかったこと、日本軍の毒ガス戦や米国の原爆使用問題、更には日米双方の無差別都市爆撃などを、将来戦での可能性を考慮して審理の対象としなかったこと、また植民地を有する帝国主義共通の利害を守るため、「慰安婦」や強制連行を審理の対象としなかったことなどこそ批判すべきであろう。

 こうした批判があるとしても、東京裁判の積極的意義を忘れてはならない。

 東京裁判は、一九二八年に締結された「不戦条約」によって提示された戦争違法化の思想に基づいて、戦前、戦中の軍部をはじめとする国家指導層が違法である戦争を計画、遂行した事実を裁いた裁判である。

 ここにみるとおり、満州事変、支那事変以前の段階で既に戦争違法化の国際的潮流が存在し、日本もこの条約を一九二九年に批准していることを忘れてはならないだろう。

 こうした裁判があったからこそ、戦争に至った道筋が検証され、指導者の責任を問うことが出来、そのことで戦後日本は過去との決まりをつけて次に進むことが出来、平和条約締結に当り、この裁判を受け容れたことで、国際社会への復帰を果すことが出来たのである。またニュールンベルク裁判と並んで東京裁判は、戦争を裁くための、その後の国際法の発展に寄与し得ているのである。

 自衛隊は東京裁判を原点とする平和・民主の日本の前提としかつ基盤とする存在である筈である。田母神氏の懸賞応募行為は、幕僚長という地位に照らすとき、自衛隊の存在基盤そのものを、その論文の言うが如き史観(紛れもない東京裁判史観=自虐史観)の描く基盤に変質させようとする“言挙げ”行為にほかならないと評すべく、文民統制の危機にあると言っても過言ではない。東京裁判から六〇年の節目の年にこうした「事件」の発覚したこと自体、まさに心すべきことである。

 

新人弁護士ご挨拶
宿直のない年末年始 “脱記者”の弁護士生活

弁護士 北神 英典

 弁護士として初めて新しい年を迎えています。

 取材記者時代は、三が日もよく仕事をしていました。弁護士になると、年末年始は法廷がないのであえて起案のために出勤しない限り休むことも自由です。その意味でも、転職したという実感をかみ締めています。

 元日に仕事をした体験としてあまり思い出したくないのが1999年、朝日新聞の1面の記事で呼び出された出来事でした。記事は、日銀の支店長宿舎の家賃が安すぎることから、国税当局が適正な家賃の差額を給与とみなし、源泉所得税の徴収漏れを指摘する可能性があるという内容でした。デスクからは「後追い記事を出せ」と指示がありました。

 当時、日銀の支店長宿舎の中には敷地が1000平米を超えるものもあって、一サラリーマンに与えるものとしてはあまりにゴージャスで調度品も立派すぎるのではないかと、世間の批判を浴びていました。

 しかし、この記事、実質的には誤報でした。私は、朝日の記事が出る前から東京国税局が日銀の税務調査をしたが、源泉所得税の追徴をするほどの家賃の差額はないとして処理を進めていることも把握していました。

 呼び出しに応じて会社に出た私は、念のため、新年早々、知り合いの国税庁幹部の自宅に電話をかけまくりました。が、やはり誤報であることは明らかでした。

 しかし事情を知らない配信先の各新聞社からは、矢のような原稿の催促がありました。「あの朝日が元日の朝刊1面トップで書いた記事だから誤報であるはずがない」。ライバルの新聞社さえ、そう信じ込んでいたのです。

 取材記者の良心から、同じ趣旨の記事を出すことに最後まで抵抗し、結局、妥協的に、「国税局が調査をしたが、源泉徴収漏れの指摘はできない見通しとなった」というヘンな記事を配信せざるをえませんでした。苦い思い出の一つです。

 これとは違って、不思議な体験だったのが、皇室担当をしていた2000年から2002年にかけての正月です。皇居では、元日は新年一般参賀、2日は新年祝賀の儀というイベントが続きます。ベタ記事にしかならないイベントですが、担当記者は朝から夜まで付き合う必要があます。

 新年祝賀の儀というのは、衆参両院議長、総理大臣、最高裁長官ほか閣僚などの政府関係者や外国の駐日大使たちが、天皇にお祝いにくる行事です。

 総理大臣や最高裁長官が、毎年、こうした定例行事に義務的に出席していることも、皇室を担当して初めて知りました。まだ、病気の診断を受ける前の皇太子妃が、障害者施設や老人施設を回っている時のぎこちない笑顔とはうって代わって、外国の要人を接遇する時の生き生きとした笑顔も忘れられません。

 ご縁あって、横浜合同法律事務所で、弁護士としてのスタートを切りました。依頼者の皆さまと、常に気持ちを一つにして1年1年新しい年を迎えていくことができるよう、努力していきたいと思っています。

 

事務所9条の会活動報告〜9条まつりinかながわ〜

弁護士 田井 勝
  1.  11月2日(日)、秋晴れの下、9条かながわの会は横浜市中区の横浜公園で「9条まつりinかながわ」が開催されました。神奈川県下各地の9条の会が一堂に会し、メインステージでは、オカリナ演奏、マジック、バンド演奏などがありました。また、各地域の9条の会が個別のテント内にブースを設け、活動報告を紹介し、お店を出店するなど、にぎわいました。
     そして、わが事務所9条の会も、弁護士、事務局員など総勢15名ほどのメンバーで参加しました。テント内に、これまでの活動報告のパネルを展示し、また、給食支部の大沼さんのサポートで、豚汁、アゲパン、フランクフルトを作って販売し、また、利き酒コーナーも設けました。
     当日と前日、事務所が空調工事のため使用できなかったこと、また、事務所40周年記念行事の準備と重なったこと等々の事情もあり、まつりへの参加はなかなか大変でしたが、当日は、まつりの終了1時間前に食べ物が全て完売(!)するなど、大盛況のうちに幕を納めることができました。会場からおそらく一番近くに構えるであろう9条の会として、まつりの盛り上げに一役買えたのではと思います。
     私自身も、秋空の下、何年か前の京都の学園祭を思い出しつつフランクフルトを焼きながら、楽しい一日を過ごせました。
  2.  一般の人々が多く行きかう横浜スタジアム隣の横浜公園なので、年配の方から、中高校生、小さなお子さんまで、多くの方が足を止め、各ブースの展示を見ておられたのが印象的でした。
     平和な世の中であり続けることは、9条の会のメンバーだけでなく、みんなが思っていることだと思います。
     一般の人々にも、憲法9条の素晴らしさをアピールし、憲法改正を防ぐこと、そして、9条の会を今以上に、世の中に広めることが、9条の会の役目だと思います。
     今後も、事務所9条の会として、多くの活動が出来ればと思います。
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