アスベスト被害について

アスベストは、わが国最大の公害被害といわれており、現在、全国各地で多くの方がアスベスト被害に苦しまれています。
被害にあわれた方は、国への労災申請、石綿救済法による給付申請、国や企業への損害賠償請求などで、適切な補償や専門的な治療を受けることが可能となります。
当事務所は、アスベストについて徹底した被害者救済と被害の根絶をモットーとして取り組んでおり、建築組合や専門医等と協力して、各種事案にかかわっております。


1 アスベストについて
アスベスト(石綿)は、蛇紋石や角閃石が繊維状に変化した天然の鉱石です。種類としては、蛇紋石系(クリソタイル:白石綿)と角閃石(クロシドライト:青石綿、アモサイト:茶石綿など)に分類されます。
アスベストは耐火性、耐熱性に優れ、かつ、値段も安かったので、「奇跡の鉱物」として、建材や重宝されてきました。日本では高度成長期の1960年代から2000年代にかけて、海外から1000万トンを超えるアスベストが輸入され、3000種類もの用途に使用されてきました。 
アスベストが使われているのは、住宅やビルなどの建物の耐火被覆としての吹き付け石綿、天井材などの各種ボード、保温材、左官仕上げのための混和材などの建材から、水道管や自動車ブレーキなど、様々です。身近なところでは、魚焼きの網やトースター、ヘアドライヤーなどにも使われていました。

2 アスベスト被害について
アスベスト粉塵(ふんじん)を吸うことが原因で生じる疾患(石綿関連疾患)には、石綿肺、肺がん、中皮腫(ちゅうひしゅ)などがあります。いずれも深刻な疾患であり、命にかかわる、治ることのない、深刻な病気です。
また、アスベストについては、潜伏期間が長く、アスベストを吸い込んでから重大な被害が発症するまで20~30年経過することが多いのが特徴的です。
そして、「閾値(いきち)がない」といわれており、アスベスト粉塵をほとんど吸っていない場合でも被害が発症する例があります。そのため、建材を用いた作業を日常的に行っていた建設作業従事者(大工、電工、左官など)や、石綿製造工場で働いていた方のみならず、学校教員(体育館などでアスベストが多く使用)、自衛隊員(船舶等でアスベストが多く使用)の方、石綿工場の近くで生活していた方でも、アスベスト被害が発症することがあります。

3 我が国でのアスベスト被害の実情
日本国内でも1960~1970年代にかけて、アスベストの危険性(発がん性)が指摘されていました。しかし、当時はわが国での被害発症例が少なく、そして、アスベストの大量使用を訴える企業側の要請も強かったため、その使用が禁止されず、また、行政の監視も不十分であったため、杜撰な使用が続けられました。
その結果、特に2000年以降、多くの方が、アスベストを原因とする疾患(石綿関連疾患)で苦しむ患者が増え続けています。
2006年、わが国ではアスベストの使用が禁止されましたが、被害者の数は増加する一方です。毎年、1000名前後の方についてアスベスト被害による労働災害(労災)と認定されています。研究者からは、2000年から2040年までの間、中皮腫だけで約10万人が死亡するとの推測もされています。
今後、建物の解体工事などでさらにアスベスト被害が増加する危険性も予測されます。
アスベスト被害のこれ以上の増加は防ぐ必要があり、また、病気が発症した方については、適切な補償・救済と専門的な治療を受けられる体制を作ることが重要となります。

4 補償・救済手続き
アスベスト被害についての補償・救済手続きとしては、大きく3つあげられます。私たちは弁護士として、以下の手続きに関して代理人として活動いたします。
(1)労災制度による補償
現在雇用されている方や過去に雇用されていた方が、業務上石綿にさらされたことにより、石綿肺、肺がん、中皮腫など、石綿との関連が認められる疾患にかかり、そのため、療養、休業、あるいは不幸にして亡くなられた方には、労災保険の対象になります。
労災保険で受けられる保険給付としては、療養(補償)給付、休業(補償)給付)、傷病年金、障害年金、遺族給付等です。
(2)石綿健康被害救済制度(石綿救済法)による給付
石綿による病気になった方とその遺族の方で、労災補償の対象とならない方であっても、救済を行う制度です。石綿工場の近隣に住居していた方、家族が石綿関連の仕事についていた方なども対象となり、医療費、療養手当、遺族に対する弔慰金や、葬祭料も支給されます。
(3)国・企業に対する請求
ア 国に対する請求(大阪泉南アスベスト裁判を前提とする和解手続)

2014年10月9日の大阪泉南アスベスト国賠訴訟の判決結果により、この裁判の被害者と同様の状況にあった石綿工場の元労働者や家族について、訴訟上の和解により損害賠償請求を支払う旨が表明されています。
和解の要件は
① 1958年5月26日から1971年4月28日までの間に、局所排気装置を設置すべき石綿工場内において労働者として、石綿粉塵に曝露(ばくろ)する作業に従事したこと
② 石綿関連疾患(石綿肺、肺がん、中皮腫など)にりかんしたこと
③ 提訴の時期が損害賠償請求権の期間内であること
 
の3点を満たすことが必要となります。慰謝料として550万円~1300万円が支払われています。

イ 企業に対する損害賠償請求

労働者が石綿による健康被害を被ったことについて、勤めていた企業(事業主)に対して安全配慮義務違反として損害賠償請求を行います。
この間、多くの裁判で、企業が石綿粉じん対策を怠っていたとして企業の責任を認める判決が出ています。石綿製品の製造会社、建材メーカー、建設会社、電工工事会社、造船会社、鉄鋼メーカー、運送会社等々の会社の責任が認められています。

ウ 建設アスベスト訴訟

アスベスト被害の7割を占める建設作業従事者(大工、電工、左官工、保温工、塗装工など)を原告として、国と企業(アスベスト製造メーカー)に対して損害賠償を請求します。現在、全国各地(札幌、東京、神奈川、大阪、京都、福岡)で裁判が続いております。わが事務所でも多くの弁護士がこの裁判の弁護団にかかわり、取り組んでおります。


5 まずはお電話下さい!!
~十分な補償と専門的な治療を受けられるために~

過去にアスベストを取り扱う仕事に従事(建設現場・石綿取り扱い工場・造船工場・鉄工所・発電所・自衛隊員)されており、アスベスト関連疾患と診断された方、あるいは、アスベストを原因としてお亡くなりになった遺族の方、また、息切れ・痰・咳の症状に悩み、アスベスト被害ではないかと悩んでおられる方、お電話ください。
当事務所は、アスベストについて徹底した被害者救済と被害の根絶をモットーとして取り組んでおります。必要に応じて外部の専門医や研究者の方、労災に取り組む組合の方と協力しながら、代理人として補償・救済手続きに取り組みます。

《アスベスト被害無料相談受付》
月曜から金曜 午前10時~午後5時
TEL:045-651-2433

までご連絡ください。後ほど弁護士からお電話で連絡させていただきます。